著者・三宅香帆氏が新刊『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で語る内容が注目を集めている。この本は、働きながら本を読むことが難しくなっている現代社会の実態を掘り下げ、特に成人の読書離れが進行していることに焦点を当てている。文化庁の調査によれば、16歳以上の約60%が月に1冊も本を読まないという結果が示されており、これは大人の読書習慣が極端に低下していることを示唆している。
三宅氏は、働くことが読書の妨げとなる理由を自身の経験を通じて明らかにし、読書の重要性を再認識させることを目的としている。彼女は、ビジネスマンにとって本を書くことが名刺代わりになり、自分の思想を広める手段であると強調する。特に、普段の生活の中で本を読む時間を持てない人々が、実は多くの価値を持った言葉を持っていることに気づくことが、ベストセラーを生む可能性があると述べている。
また、三宅氏は本のタイトルやコンセプトの重要性についても触れている。彼女は、自身が提唱する「問題定義」がいかに重要かを説明し、タイトルが読者の興味を引くための鍵であると指摘する。特に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』というタイトルは、彼女自身の実感から生まれたもので、多くの人々の共感を呼んでいるという。
コンセプトを作る上での有効な手法として、三宅氏は「アンチテーゼ」や「新しいものを組み合わせる」ことを提案している。例えば、現代の流行を逆手に取ったり、異なるジャンルの要素を掛け合わせることで、独自の視点を生み出すことができるという。これにより、他者と差別化された魅力的な内容を作成することが可能になる。
最後に、文章を書く際の重要なポイントとして、読みやすさと説得力が挙げられる。三宅氏は、特に記事や本を書く際には、読者がパッと内容を理解できるようにすることが重要であり、同時にその内容を信じさせる力を持つことが求められると述べている。
三宅香帆氏の講義は、ただの読書論にとどまらず、現代社会における働き方と文化の在り方を問い直すきっかけとなるものである。彼女の経験と洞察を通じて、多くの人々が再び本を手に取るきっかけを得ることが期待されている。