特集「キャッチ」では、福岡県築城基地に所在する航空自衛隊において、F2戦闘機の初の女性パイロット、水越さん(27歳)に密着した様子が紹介されました。自衛隊発足から70年目にあたる今年、彼女はこの歴史的な役割を担うこととなりました。
水越さんは、航空自衛隊でF2戦闘機を操縦できる唯一の女性であり、過酷な訓練を日々重ねています。彼女は訓練の合間に同僚たちと共にコーヒーを入れたり、鉛筆を削ったりする姿が印象的でした。彼女の職務は非常に厳しく、F2は最高時速マッハ2に達し、最大で9Gの重力負荷がかかるため、体力と技術が求められます。
訓練では、パイロットとしての技術を磨くために、空中戦や緊急発進のシミュレーションを行っています。特に昨年度は全国で778回の緊急発進があり、領空侵犯などに対する警告が求められる状況が続いています。水越さんは、24時間365日体制で任務に備え、緊張感を持って訓練に取り組んでいます。
水越さんは奈良県出身で、学生時代にはバスケットボールに熱中し、パイロットを目指すきっかけは高校生の時に見たブルーインパルスの動画でした。その美しさと危険さに惹かれ、理学療法士を目指していた進路を変更し、大学卒業後に航空自衛隊に入隊。4年間の厳しい訓練を経て、女性初のF2パイロットとしての道を切り開きました。
最近、基地の外に引っ越した彼女は、趣味の料理を楽しみながら、結婚した同僚の亮太さんと共に生活を送っています。仕事を終えてフライトスーツを脱ぎ、家庭の時間を大切にする彼女の姿からは、パイロットという職業の厳しさと同時に、私生活の一面も垣間見えます。
自衛隊では少子化の影響により隊員不足が深刻な問題となっており、定員は約24万7000人に対し、昨年度の実際の隊員数は約2万7000人にとどまっています。この課題に対処するため、基地見学会などを通じて自衛隊の仕事を広く知ってもらう取り組みが進められています。
水越さんは「先輩方に追いつき、追い越す」という気持ちを持ちながら、日々の訓練に励み、後輩たちに良い影響を与えたいと考えています。女性初のF2パイロットとしてのプライドを胸に、彼女は今日も大空に挑む準備を整えています。