【解説人語】ガザ停戦合意、背景にトランプ氏の圧力 実現は不透明
イスラエルとハマスの停戦合意が発表されたが、その実現性については不透明であるとの見方が強まっている。この合意の背後には、トランプ氏の圧力が存在していると指摘されている。トランプ氏は「停戦しないと中東は地獄を見ることになる」と述べ、強いプレッシャーをかけていた。
この停戦合意が結ばれたタイミングは、アメリカの新大統領就任が近づいていることが影響していると考えられる。特に、バイデン政権はイスラエルに対してハマスとの停戦を働きかけてきたが、実現には至っていなかった。最近、レバノンのイスラム組織やイランが弱体化している中で、トランプ氏の再任が視野に入ることで、ネタニヤフ首相は停戦実現の必要性を感じたのではないか。
今回の合意は三段階に分かれている。第一段階では、19日から6週間の間にハマスが約33人の人質を解放することが求められている。次に、残りの人質の解放と同時にイスラエル軍がガザから撤収することが計画されており、最終的には復興に向けた努力が進められる見込みだ。
しかし、停戦の持続性については疑問が残る。昨年11月にも一度停戦が実現したが、約10日で崩壊した経緯がある。ハマスの戦闘能力が依然として存在するため、ネタニヤフ首相の政権内でも停戦に反対する意見が根強い。これにより、合意が実現するかどうかは今後数日間の進展にかかっていると言える。
また、最近の戦闘ではイランの影響力が大きく低下している。イランは、ハマスやヒズボラを支援してきたが、これらの組織の弱体化が進み、イラン自身も力を失っている。シリア内戦の影響もあり、イランの軍事的支援は難しくなっている。
国際社会において、ガザの停戦合意は中東の力関係を変える可能性がある一方で、ウクライナ戦争との対比において国際的な対応の一貫性が欠如していることが浮き彫りになった。特に、ガザでは多くの市民が犠牲となっており、国際法違反との指摘が強まっている。これに対して、アメリカや欧州諸国はイスラエルを支援し続けており、グローバルサウスからはダブルスタンダードの批判が高まっている。
今後、イランとイスラエルの対立は続く可能性が高く、イランは核開発を再開する動きが懸念される。国際社会はこの問題に対処するための外交努力を強化する必要がある。停戦合意が実現するかどうかは不透明だが、中東の安定に向けて国際的な協力が不可欠であることは明らかだ。