2025年に向けた日本の大転換をテーマにしたシリーズ企画「2025ニッポン大転換」の第2夜では、トランプ氏の再任による世界大戦リスクについて議論が交わされた。アメリカの議会でトランプ次期大統領の選挙勝利が正式に認定された6日、トランプ氏がノーベル平和賞を狙う一方で、彼の政策が世界的な緊張を高める可能性が懸念されている。
日本経済新聞のコメンテーター、秋田博幸氏によると、現状は1938年の世界情勢と驚くほど似ているという。具体的には、ナチスドイツがチェコスロバキアの領土を要求し、イギリスとフランスがこれを容認した結果、第二次世界大戦の引き金となった歴史がある。今、トランプ氏がウクライナとロシアの停戦を促そうとしていることが、過去の失敗を繰り返す危険性を孕んでいると指摘されている。
トランプ氏は「24時間以内に停戦を実現する」と豪語しているが、戦闘を止めることが必ずしも平和につながるとは限らない。実際、ロシアが再侵攻する可能性があり、過去に何度も停戦合意を破ってきた事例があるため、ウクライナが不利な立場に置かれる恐れもある。これは、ロシアの影響がバルト三国やポーランドにまで波及する可能性があるとの懸念を生んでいる。
加えて、ロシアのウクライナ侵略を支える北朝鮮や中国との協力関係も重要な問題である。北朝鮮はロシアに兵士や物資を提供し、一方でロシアは北朝鮮に軍事技術を供与する可能性がある。このような相互依存関係が進むことで、アジアにおける軍事的緊張が高まる懸念が増している。
秋田氏は、過去の世界大戦がヨーロッパから始まり、アジアに波及したことを踏まえ、現在のウクライナ情勢が将来的に台湾海峡の緊張に影響を与える可能性があると警告している。アメリカは一度に一つの大規模な戦争しか対応できない体制にあるため、二正面作戦が実施される場合、その抑止力は大きく低下するだろう。
このような状況下で、日本はどのように安全保障上のリスクに向き合っていくべきなのか、今後の議論が求められている。トランプ氏の政策がもたらす国際情勢の変化に対し、慎重な対応が必要とされる。